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放射線防護用メガネ由来のサングラスがテレワークに向いている理由 「5G EGIS」はずり落ちない - ITmedia

 このコロナ禍にあって、メガネ店はその影響が少なかったといわれています。もちろん、ショッピングモールなど施設内の店舗は売り上げが厳しかったのですが、メガネ自体の需要が減ることはなく、ゴーグルやフェイスガードなどの商品展開も可能だったことも大きいようです。

 リモートワークの一般化で、眼の疲れを軽減するためのメガネや老眼鏡への関心も高まりました。

photo design88「5G EGIS」定価3万800円(MAKUAKEで早割あり)。写真は偏光レンズタイプ。レンズタイプは他に、グラデーションレンズ、クリアサングラスレンズがある

 スギモトデザインスタジオのブランドであるdesign88が新たに展開する「5G EGIS」(ファイブジー・イージス)は、そういう新しい時代のサングラスといえるのではないかと思います。

分かりにくいけれど面白いモノたち

ITから文房具まで幅広く活躍するベテランライター、納富廉邦さんが言語化しづらいけど面白いガジェットやサービスを分かりやすく解説していきます。

医療現場向け製品を一般向けに 使ってみて分かる“医療グレード”の魅力

 ポリアミド製のハードデューティーなフロントデザインは、スギモトデザインスタジオが考案、製作し、現在エネアコーポレーションから発売されている「Dr.VIEWドクタービューX-RAY タイプEX《DRV-X88》」をベースにしたもの。

 Dr.VIEWは、実際に医療の現場で使われている放射線防護用メガネで、放射線だけでなく、飛沫などに対するゴーグル的な防護機能を持ち、鉛入りのレンズを搭載してもブレず、ズレずに掛けていられる優れものなのです。

photo エネアコーポレーション「Dr.VIEWドクタービューX-RAY タイプEX《DRV-X88》」。医療現場で使われている、この製品を元に、一般向けに作ったのが「5G EGIS」シリーズ

 その実績を踏まえて、一般用に開発されたのですが、その動機について、スギモトデザインスタジオ代表の杉本早見氏はこう語っています。「医療用に作ってみて、これは普通にカッコいいのではないかと思ったんです。介護の現場からのゴーグルに近いメガネが欲しいという要請もあって、じゃあ作ろうと」

 実際、コロナ禍もあって、サングラスやゴーグルの需要は高まっています。そういう状況だからこそ、ゴーグル的な機能も持つサングラスは、確かに求められている製品なのでしょう。しかもプロの現場でも使われているハードな仕様と、その機能に見合うスタイリッシュなデザインを兼ね備えているのです。

photo 上下左右背面からの飛沫などにも対応するゴーグル的なサングラスなのだ

 ただ、メガネは大体そうなのですが、見たり少し触ったりするくらいでは、そのすごさが分かりにくい製品。そこで杉本氏は、この「5G EGIS」の魅力を、分かりやすく5つのGoodで説明しています(だから5G)。「防護力・良好な視界・度付き対応・ズレない・掛け心地の良さ」の5つです。

 防護力は医療の現場で折り紙付きのドクタービューから放射線防護用の機能を抜いただけですから、日常生活には十分すぎるほどのスペックです。

 選び抜かれた日本製の3種類のレンズを用意して、画期的な度付き対応システムを搭載。スギモトデザインスタジオの得意技とも言うべき「NQTシステム」による、しっかりと固定されてズレにくいフレーム。さらに、これも医療の現場での長時間の使用に耐える掛け心地の良さ。

 これは、新しい時代に対応した新しいタイプのサングラスではないかと思います。

photo このアームに装着されたテンプル部分でメガネを支えるパッドがNQTシステムのポイント。これによって6点で支える構造。U字になっているアームにも注目

NQTシステムはずり落ちない

 まず、説明したいのは、「NQTシステム」です。design88の製品ではおなじみの機構なのですが、通常のメガネで使われている左右の鼻パッド、両耳の弦で顔に固定するのではなく、さらに左右のこめかみで支えるパッドを加えた6点で固定することによって、耳や鼻に掛かる力を分散しつつ、一度掛けたら、ずり落ちたりすることがないフレームを実現しています。

 実際、このフレームを使ってみると分かるのですが、これ、本当にズレません。顔を振ったり、走ったりしても大丈夫な上に、6点で支えているせいか、鼻が痛くなったりせず、長時間、楽に掛け続けられるのです。対放射線用の重い鉛入りレンズを入れた状態での長時間作業に耐える設計なのですから、一般用のレンズにはオーバースペックなくらいです。

photo design88のNQTシステム搭載のメガネフレーム装着例。こんな風に6点で支えるので、メガネがズレない。この機構はレンズの位置が重要になる累進レンズでも有効

 ずり落ちない、つまり、メガネを指で「くいっ」と持ち上げる必要が無いというところから「ノー・クイット」(NQT)と名付けられた、そのふざけた命名が決して大げさでもハッタリでもないのが、なんだかとてもすごいと感じます。

 腕のこめかみ用のパッドを付けている部分がU字になった構造も、フロント部分を固定しつつ、こめかみのパッドに掛かる力を必要最小限に止める仕掛けです。このおかげで、フロントのブレが抑えられると同時に、こめかみへの圧迫が少なくなっています。

 試作を繰り返しているだけあって、細部まで良くできたシステムです。杉本氏によると、実際に使っているユーザーたちからの評判も良く、今のところ、NQTシステムへの不満は出ていないということです。

photo 3300円(税込)で販売される、オプションのインナーフレーム。ここに度付きレンズを入れて使用する

 そして、今回新たに搭載されたのが、本体の中に度付きレンズ付きインナーフレームを装着するというスタイルです。

 私もそうですが、普段、メガネを掛けている人間にとって、サングラスは掛けたくてもハードルが高いもの。メガネの上から掛けるオーバーグラスタイプのものは大きくて持ち歩きにくいし、あまりにもデザインに選択肢が少なく、積極的に使いたいものではありません。

 かといって、フレームにクリップで留めるタイプは、手軽で良いのだけど、カッコ良いとはいえず、度付きのサングラスを作るのは、お金もかかるし、掛け替えも面倒です。調光レンズはカッコいいのですが、色が変わる速度によっては案外実用性が低かったりもして、価格的にも手が出しにくかったりします。

photo インナーフレームはこのように、内部に装着する。ブリッジ部分にあるマグネットで固定するので、簡単に着脱できる仕掛け

 そこで、今回、杉本氏が考えたのが、インナーフレームを装着するという方法。サングラスの内部に、度付きレンズを入れたインナーフレームをマグネットで貼り付けるというものです。

 これだと、簡単に着脱できる上に、サングラス自体のデザインに影響しません。さらに、インナーフレームは3000円と安価なので、複数用意しておけば、例えば、作業用の近くを見るためのメガネや、運転用のメガネなど複数のインナーフレームを1つのサングラスで使い回すこともできるのです。

 持ち歩いて、付け替えて使うことを想定して、フレームにはスリーブケースが付属するのも気が利いています。これも実際に試してみたのですが、着脱もスムーズだし、見やすいし、良くできた仕様だと思いました。

 「インナーフレームのアイデア自体は、すぐに浮かんだのですが、マグネットで留めるという方法にたどり着くまでも試行錯誤を繰り返し、実際の製作はミリ単位での調整が必要で、完成までにかなり苦労しました」と杉本氏。シンプルな解決策に見えるのですが、これまでに無かった方法だけに、実現のハードルは高かったようです。

photo インナーフレームを装着した状態を外から撮影。不自然さがなく度付きレンズを装着できる仕組みは画期的だ

 このインナーフレームのスタイルやNQTシステム、そして雨風・ゴミ・虫・飛沫等から守ってくれる防御力の高さは、サングラスの使用範囲を大きく広げました。従来の、釣りやドライブ、レジャー、外出時の眩しさや紫外線からの保護だけで使うにはもったいないハイスペックなメガネですから、他の用途にも使いたくなります。

 そこで、このサングラスは3種類のレンズが選べるようになっています。偏光レンズ、グラデーションレンズ、クリアサングラスレンズの3つです。

photo クリアサングラスレンズは、こんな感じ。ほとんどサングラスっぽさはないが、しっかりUVカットはできる

 「今はマスクが当たり前ですから、そこにサングラスまで加わると、ちょっと怪しくなりすぎてしまいます。また、室内での利用も考えていたので、透明だけどUV99%以上カットできるクリアサングラスレンズや、色が薄くて目に入る光を整理する機能を持ったグラデーションレンズも用意しました」と杉本氏が言うように、用意された3種類のレンズは、どれもかなりのハイスペック。サングラスとして一般的な色の濃いタイプがいきなり偏光レンズで、しかも背後やサイドからの紫外線にも対応するWUVカット仕様です。

photo グラデーションレンズは、こんな感じ。PCなどを見る時、眩しくないのにコントラストは上がるので、とても見やすくなる
photo グラデーションレンズを通して見た視界と、レンズ無しの違いと、杉本氏によるコメント

 個人的に面白いと思ったのが、グラデーションレンズ。乾レンズのハイドコートというものだそうで、実際に試したところ、コントラストが上がる感じで、物がとても見やすくなりました。

 まぶしさを感じやすい光をカラーバランスを整えながらカットする機能を持っているのだそうです。パソコン作業や、展示会などの複数の色温度の光が混ざる現場などで使えて、しかも、ちゃんと目元が見えるのに、外での太陽光の眩しさにも対応するという、ほとんどコロナ禍の中、ゴーグル的な機能を持つ、このサングラスにぴったりのレンズだと思います。

photo スギモトデザインスタジオの杉本早見代表、自らによる装着例

 これだけのハイスペックを備えつつ、立体的な迷彩柄を施す遊び心も忘れないちゃめっ気のようなものが、スギモトデザインスタジオの個性なのですが、やはり個性的過ぎるという自覚があるのか、この「5G EGIS」は、まずMAKUAKEでのクラウドファンディングでスタートします。一般向けの販売は年末くらいになるそうなので、早く手に入れたい方、安く手に入れたい方は、クラウドファンディングを使ってみてください。

 個人的には、仕事や取材に使えそうなグラデーションレンズタイプを手に入れて、パソコン用と外取材用の2種類の度数が違うインナーフレームと合わせて使いたいと考えています。

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July 30, 2021 at 06:50PM
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