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学術会議問題の本当の争点は「人事介入」ではない - JBpress

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なぜ「国営」にこだわって民営化を拒否してきたのか

(写真:西村尚己/アフロ)

(池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)

 日本学術会議の会員候補105人のうち6人が任命されなかった問題が、国会の最大の争点になっている。このきっかけは新会員の発表された10月1日に、共産党の機関誌『赤旗』が「菅首相、学術会議人事に介入」というスクープを出したことだ。

 これをマスコミ各社が追いかけて野党が騒ぎ、多くの学会が抗議声明を出し、「学問の自由の侵害だ」とか「人事介入は違法だ」という騒動になっているが、困っているのは当の学術会議だろう。今まで学術会議は人事介入を容認してきたからだ。

問題は学問の自由でも人事介入でもない

 学術会議は内閣府所轄の政府機関であり、その会員210人は非常勤の国家公務員(特別職)である。任期は6年で、3年ごとに半数が改選される。日本学術会議法では、会員は「会員は(学術会議の)推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」と定められている。

 今回も学術会議は105人を推薦したが、内閣府は99人しか任命しなかった。これが違法だから残りの6人も任命しろというのが学術会議の主張だが、これはおかしい。推薦された人を内閣がすべて任命する義務があるなら、条文は「会員は学術会議が任命して内閣総理大臣が承認する」と書かなければならない。

 そんな「完全独立性」をもつ政府機関は存在しない。憲法15条では「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と定めているので、すべての公務員の任免権は、最終的には国民の代表たる内閣にある。

「学問の自由の侵害」という話もナンセンスだ。学問の自由とは「研究と表現と教授の自由」を意味するが、学術会議の会員は名誉職で、仕事は年に数回の会合に出るだけで、報酬も日当だけ。それに任命しないことが研究や表現の自由を侵害するはずがない。

 学術会議の推薦どおり任命しなかった前例もある。大西隆元会長(東大名誉教授)は「2016年の補充人事で欠員が出る3ポストについて各2人ずつの推薦候補を選び、優先順位をつけて名簿を作った」が、官邸に難色を示されて推薦を見送ったという。

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