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横浜の異臭、採取に初成功した意外な理由 消防局の本部近くで発生 - livedoor

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横浜市中区のみなと赤十字病院。10月7日の本誌の取材時点では、異臭はこの付近が ”最北端” だった

 10月12日夕方にJR横浜駅(神奈川県)構内で発生した異臭騒動は、一時、駅構内が封鎖される事態にまでなった。

 これまで神奈川県内で何度も起きた異臭騒動では、臭いを発する「空気」を採取できていなかったが、この日、横浜市消防局は、一連の騒動の中で初めて空気の採取に成功した。検体は横浜市環境創造局環境科学研究所で分析され、その結果が明らかになった。

 それによると、異臭を発していた空気には、ガソリンの臭いのもとになっている蒸発性ガス「イソぺンタン」が通常の空気中と比べて約12倍も多く含まれていることが明らかになった。同じく「ペンタン」が通常の約13倍、さらに「ブタン」も約2.7倍多く含まれていたという。

 また、物質が燃えるときに発生し、こちらも臭いの原因となる「エチレン」や「アセチレン」も、通常の空気中より2倍強の濃度で含まれていた。この分析結果について、横浜市環境創造局の担当者はこう話す。

「この異臭は、ただちに健康に影響を及ぼすものではないと考えます。ただ、何が原因かはこれから調べることになります。

 ガソリンに含まれる物質が検出されましたが、採取した場所の近くに、ガソリンのようなものがあったわけではありません。地殻変動による異臭だとか、タンカーがガスを放出する『ガスフリー』だとか、いろいろと(原因が)言われていますが、現段階では、どの可能性も否定はできません」

 本誌『FLASH』10月27日発売号では、三浦半島の各地で2020年5月から相次いで起きた異臭騒動を徹底調査した。三浦半島の南端にある三浦市では、5月から「シンナーの匂い」「ゴムが焼けたような臭い」がするとの報告が続き、消防車や救急車が出動する事態になっていた。

 そして、異臭は月を追うごとに三浦半島の東京湾沿いを北上し、本誌が取材を終えた時点では横須賀市内で異臭が多発していたが、10月12日、ついに横浜駅まで到達。原因の究明を求める住民の期待の大きさに反して、これまでは異臭が通報されるたびに消防署員が空気をサンプリングできる装置を持って現場に急行したものの、到着したときには、すでに異臭は消えており、一度もサンプルを採取できていなかった。

 横浜市消防局はこう話す。

「横浜駅で異臭騒動が起きた10月12日、その少し前の時間帯にも、みなとみらい地区から『異臭がする』という通報があったのです。消防局から空気の採取部隊が急行したのですが、異臭の採取はできませんでした。

 そのあいだに横浜駅でも異臭騒動が起こり、横浜駅でも空気の採取には至らなかったのですが、同じ時間帯に、今度は消防局の本部がある保土ヶ谷区役所でもガス臭がしたのです。そこで、サンプリングすることができました」

 横浜駅の異臭には、今回も間に合わなかったが、偶然にも消防局の本部近くでも異臭が発生し、こちらには間に合って、念願の異臭の採取&分析に初成功したというわけだ。

 このような経緯から、横浜市環境創造局の担当者は、「採取できた異臭が、(4カ月にわたって続く)一連の三浦半島で発生している異臭と同じものかどうかはわかりません」と慎重に話すが、これまでは空気の採取にすら一度も成功していなかったことは、前述のとおり。

 異臭の成分がわかったことは、対策を講じる上で意味がある。謎の解明に向けて、ついに大きな一歩が踏み出された。

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